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2019年11月30日 (土)

アトピーの寛解と完治

寛解という言葉を砕いて説明すると「まあ大体良い感じを保っている状態」となるでしょうか。
正確にはココ(コトバンク)を参照してください。
実際には病気の種類によってはたとえ完治していたとしても、そうは言い難いものも多いと思われます。
風邪や怪我などの一時的な症状の場合、それが治れば完治と言いやすそうですね。一方慢性的な疾患の場合は、一時的な改善が見られても完治とは言い難く、寛解と呼ぶべきなのかもしれません。

前回に続いて今回も「頑固なかゆみもアトピーも1分肌活で必ずよくなる(豊田雅彦著、三笠書房刊)」という本を見てみたいと思います。
ここでも寛解という言葉が使われていますが、その話題は後に回して、まずはこの本についての感想を述べたいと思います。

「これを知れば食物アレルギーまでよくなる!」という節を引用します。
口から体に入った食べ物はアレルギーの原因になりにくくなるので、乳幼児期から与えていいと考えられるようになりました。
口からよりも、皮膚を通して体に入った成分のほうが、食物アレルギーを引き起こしやすいことが明らかになっています。
これは、以前このブログでも取り上げたとがあります(「新しいアレルギー治療」)。

後でも触れるのですが、この本の良いと思うところは巻末に皮膚トラブルの原因をあげていることだと思います。お医者さんの中には対症療法一辺倒の方も少なくありません。

汗をかくことも推奨されています。このブログでも取り上げましたが(「脂肪とアトピー(汗)」)、これに関しては標準治療の考え方としても定説になっているのかなとも思ってます。
個人的にもアトピーの方には怖がらずに、汗を流すことをおすすめします。

次は「『脂質』だけはよく選ぼう」という節です。
以下、引用です。
脂質の構成成分である脂肪酸は、皮膚に大きな影響を及ぼします。
皮膚にとってお勧めなのは、アレルギーや炎症を抑える作用がある「オメガ3系脂肪酸」です。
リノール酸などのオメガ6系脂肪酸は摂って悪いわけではない。必須脂肪酸でもあるが、加工食品などで使われていて過剰に摂りがちである。
これは少し前に取り上げたばかりです(「脂肪とアトピー(ファットアダプト)」)。
私は最近も積極的に摂っています。

この本のメインテーマは肌活です。
私の経験では保湿剤などはそれほど積極的に利用しませんでした。
その理由としては、そもそも自らのアトピーを真剣に考えるようになったのは、徐々に効果が薄れてきたステロイドを疑い始めてからで、脱ステが先に来たことにあります。
ひどい脱ステの状態というのは保湿剤ごときでなんとかなるものではありません。
ごうごうと燃えている火事に小さなバケツで水をかけるようなものです。
いろいろと試したものの、意味がないと思い、しなくなりました。
じゃあ、肌活自体に意味がないかというとそうは思いません。
初期のアトピーやまずまずの状態を保っている時、その状態を保つため、ステロイドに依存しないように、などなどの細かな理由もありますが、いわゆるアトピー素因の中の皮膚の乾燥に関わるものなので、どんな状態においても意識しておくべきことなのかと思います。
先ほど挙げた汗をかくことや脂質を摂ることは私もおすすめしたいです。
保湿剤に関しては個人的には人工的に作られた化学物質によるものはあまり信用していません(良いもの、悪いもの玉石混交なのかもしれませんが…)。
人間の皮膚の良い状態に近づけるもの、もしくは近いものが良いと思っています。
ただ、個人的には保湿剤にはあまり頼ったことがなく保湿剤に関する経験値は低いので、話半分でお願いします。

この本で良いと思ったことが、巻末にあるさまざまな皮膚トラブルの原因集です。
この原因を知るということは大変重要だと思います。
今まで過去のブログ記事の中で何度も言ってきたことですが、原因を追求せずにステロイドで抑えることを繰り返していたら、ステロイド自体が皮膚トラブルの原因になり、負のスパイラルに陥ると考えています。
皮膚科医にはお世話になったのは10数年前になりますが、少なくともその時代のお医者さんに真剣に原因を追求しようとするお医者さんには出会えませんでした。
ステロイドで抑えることがお医者さんの役割だったようです。
やっとステロイドの使い過ぎは良くないと標準的な皮膚科医が言う時代が来ましたが、原因究明がないことには口だけになってしまいます。
アトピーと診断され対症療法だけしていた人の原因がこの原因集に載っているかもしれません。
的を得た原因対策がとれれば、薬はいらなくなるはずです。
肌活がメインの本にこれを載せたことは、この著者のお医者さんの慧眼なのかなと思います(ページ稼ぎとは思いたくない^^;)。

しかし、納得いかない部分もあります。
「顔との相性には気をつける」の節では、特に皮膚が成長期の赤ちゃんの顔にステロイドを間違った判断で塗ると皮膚の成長が止まってしまうと言っています。
一方、「自己流治療の恐ろしさ」の節では乳幼児にベリーストロングのステロイド外用薬を塗るやり方を説明しています。
これは「最初にガツンとする」この著者の信念だそうです。


事実、この著者の治療においてこれが上手く行っていたとして、世のどれだけの患者が問題なく治療できているのでしょうか?
ある箇所ではステロイドを怖がる親の間違いを取り上げ、ある箇所ではステロイドを塗りたがる親のやり方のまずさを指摘しています。
また、プロアクティブ療法の箇所ではお医者さんの中でも考え方の違いがあることを指摘しています。
これら一見矛盾にも見えることは今のアトピー治療の現状を映し出しているような気もしますが、それでも、もし、この本に書いてある著者のやり方が正しいのなら、早く普及して現状の問題を解消してほしいものです。
こういった一般向けの本はもしかしたら医学界ではあまり快く受け入れられないのかもしれません(スタンドプレー、儲け主義などと思われる?)。
学会でも発表している内容かもしれませんが(そう書いていたかも)。

この本では、アンテドラッグのことも書かれていました(「アンテドラッグ」)。
また、当然のことのようにタクロリムスも使われるようですし、シクロスポリンとデュピルマブについてはこんなことも言っています。
今後は、アトピー性皮膚炎の発症機序に迫る治療法や治療薬開発の大きな進展が期待されるのです。
うーむ「肌活が普及されることを期待」が締めの言葉ならまだ信用できるのですが、やっぱりそれじゃダメなの?と思ってしまいます。

前回、「堂が歪んで経が読めぬ」ではこの本の体験談(成功例)を紹介しました。
新たな治療法や治療薬に期待と言うことはおそらく上手く行っていない例もあるのでしょう(おそらく少なくない)。
この本でアトピービジネスを名指しで否定することはなかったと思いますが、皮膚科学会の重鎮(元)がたまたまだと否定したアトピービジネスでの成功例とさほど違いはないのかもと思ってしまいます。
短期的に見ると私の場合もステロイドで治まる時期などいくらでもありました。
これはこの本だけでなく、食事療法など別の方法をされている方の場合でも同じです。
たとえば、ステロイドと併用でする食事療法がうまく行っていると言われる方もおられますが、ステロイドを普通に使用するだけでも、何年も問題ない場合もあります。
ステロイドが効いているのか、食事療法が良いのか、別の要因かを判断するのは簡単ではありません。
この本の体験談においても同じです。
短い目で見れば成功と言えるのかもしれませんが、今後どんな状態を維持できるのかは分かりません。
長期的視点が必要だと思います。

さて、最後に寛解の話をします。
この本では肌活とたまにステロイドなどの薬を使うことで良好な状態を維持できれば寛解と考えているようです。
これに関してはまったく同意できます。
たとえば、日常的肌活をこなし、数カ月に数日ステロイドを塗る。
これが恒久的に続くのなら問題ないと思います。
この数カ月が1ヶ月、1週間になるようでは困ります。
また、5年間は保っていたが、その後に症状が爆発的に悪化したというのも寛解としては認めたくないです。

ここからは科学的根拠のない、まったく個人的な意見です。
この本で言う寛解はあるかもしれません。
それは否定しませんが、ステロイドを使っている限り、完治は難しく、多くはよくて寛解を目指すしかないと思っています。
さらに言うと低年齢でのステロイドは多くの場合、ステロイド有りきの身体になり、ステロイド無しの完治の道を閉ざしているのではないかと考えています。
私にはアトピーにおける寛解という言葉はステロイドと切っても切れない関係のような気がします。

アトピー関連のお医者さんの本でも長期的視点に立ったものになかなか出会えません。
ステロイド忌避のことを信仰みたいだと言われることがありますが、科学が答えを示さない以上、信仰に頼るしかないのが実情かなと思います。

この記事を偶然でも読んだ人は結局何が良いのかさっぱり分からないと思いますが、最終的には自分の身体を通した感覚で何が信じられるかだと思います。

 

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