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2016年3月30日 (水)

通りすがりのステ談義(その2)

通りすがりのステ談義(その1)」の続きです。

 

通りすがりの薬学生さんは、私の質問に対して、今回も丁寧に答えてくれました。

そのコメントの全文はこちらです。

通りすがりの薬学生さんのコメント(その2)

 

ここでは、前回の私の質問ごとにその回答をまとめたいと思います(アカデミックな説明はコメントを見てください)。

まずは、

3-1.水酸化により、ステロイドとしての効力を失うのか?

です。

水酸化によって、水に解けやすくなるそうです。

さらに、グルクロン酸と言う物質がつくと、さらに水に解けやすくなり、排出されやすくなります。

それでも、別経路で再度体内を巡る可能性がありますが、水酸化されていると細胞膜を通過しにくくなるため、作用しにくくなると考えられるそうです。

まあ、水酸化されるとステロイドとしての効力はほぼ失われると考えて良いのかもしれません。

 

次に

3-2.どのくらいの割合でステロイドは代謝(排出)されるのか

です。

一般的な考え方は教えてくれましたが、残念ながら具体的な数字(時間)はわかりませんでした

まあ、その薬を専門的に調べていない限り、そういう情報をお持ちで無いのは当然ですよね。

教科書に載るくらいポピュラーなのものなら別ですが、私の要望したランク毎にどうかなどは簡単に得られる情報ではなさそうです。

私個人の予想ですが、以前、ステロイド肯定派のお医者さんが言った「体内に入ったステロイドは数時間で代謝される(うろ覚えです。半日で、だったかも)」は血中に限れば、ほぼ正しいような気がします。

 

3-3.2-4.FClには高い電気陰性度があり、他の原子よりも強く負に荷電して、受容体に存在する正の電荷を持つ部位と強い水素結合を形成して、離れにくくなるために作用が増強する。」に対して、その強さの秘密はどこにあるのか疑問に思いました。そして、以下の2パターンのうちどちらかを聞きました。

パターン1

 発現させる箇所に速く、確実に行くから、強い。

パターン2

 繰り返し、発現するから、強い。

これは、パターン2だそうです。

「残念ながら」という言葉を使われたのが、印象的です。

ステロイドを塗ると劇的に効くのがよく理解できます。

この話を理解するためには、ステロイド外用剤の作用機序を知っておく必要があると思います。

こちらの図がわかりやすいのではないかと思います(炎症因子の抑制の仕組みははじめて知りました。ちなみに図のグルココルチコイドとは糖質コルチコイドのことです。体内では副腎で合成されます。ステロイド外用剤も糖質コルチコイドです)。

2-4の結合の強さと言うのは、この図で言うと、ピンクの三角と青の山のつながりのことで、繰り返しというのは、抗炎症因子転写のことだと思います。

この繰り返しの事象に対する疑問を私の2回目のコメントでしているのですが、ここで少し触れておくと、「繰り返し」の終わりはいつなのかと言うことです。

これについては「通りすがりのステ談義(その3)」で取り上げます。

 

通りすがりの薬学生さんは私の質問の回答以外に、以下のことを教えてくれました。

 

一つはステロイド使用による副腎萎縮の話です。

これは、長年標準治療側の見解としては否定されてきたものです。

内服では起こるが外用では起こらないと。

しかし、前回の「(速報)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」で紹介したガイドラインでは、強いランクのステロイド外用剤の使用で副腎萎縮(ガイドラインでは抑制と表現)があったという報告があったと記述しています(自分たちはまだ認めなてないって感じなのかも)。

この副腎萎縮については、特に脱ステする方などは勉強している方が多いので、ご存知だと思います。

ご存知ない方は、わかりやすく説明されているので、通りすがりの薬学生さんのコメントをご覧になってください。

 

もう一つは、私の今までのステロイドに対する認識を覆すほどの興味深い情報でした。

その部分をそのまま抜粋します。

「実は、私たちの体にもともと存在するステロイドホルモンである糖質コルチコイドは、普通の生理的濃度では抗炎症作用や免疫抑制作用はほとんど発揮しません。

こんなことを言うとお医者様から怒られてしまうのであまり大きな声で言えませんが、実は私たちがステロイドホルモンを抗炎症や免疫抑制作用を目的として使用するのはもともと体が想定していた作用ではないと言われています。」

 

次回「通りすがりのステ談義(その3)」で、このことを含めた私の質問を紹介した後、このステ談義のまとめをしたいと思っています。

 

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コメント

副腎の委縮はないみたいですね、基本的に外用薬では。

深谷先生のブログにあるように、もし本当にバリア破壊が原因なら間歇的にぬれば(どの程度がわかりませんが)リバウンドなしでステロイド外用は使えるということになりますが、これについてはどう思われますか?

さつまいもさん

> 副腎の委縮はないみたいですね、基本的に外用薬では。
副腎萎縮の報告があったことは今回皮膚科の重鎮たちも認めたようですが(「(速報)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」参照ください)、基本的にはレアケースなのかなと私も想像しています。
ただ、だから問題ないとは言えないと思います。
私も副腎萎縮はありませんでしたが、脱ステ後に起こった悪化にステロイドの影響が関係していることは間違いないでしょう。
副腎萎縮は生死にかかわることですから、重要であることは間違いないのですが、実際はそれ以外の影響の方が現実的には重要というか、大きな割合を占めていると言えるような気がします。
副腎萎縮しか問題にしないのは、たとえるなら、殺人以外は犯罪じゃないって言うようなものかもしれませんね。

> 深谷先生のブログにあるように、もし本当にバリア破壊が原因なら間歇的にぬれば(どの程度がわかりませんが)リバウンドなしでステロイド外用は使えるということになりますが、これについてはどう思われますか?
ここのところ深谷先生のブログは目を通してなくて久しぶりに覗きました(推薦しておきながら)。
そこでは「通りすがりのステ談義」の続編で私が書こうとしていたことが書かれていました(読まなきゃ良かったかと思ってます。二番煎じというか盗作みたいで…もちろん、私が書こうとしていたもの以上のものが書かれていますが(^^;)。
話がそれましたね。
ポイントは「間歇的にぬれば」だと思います。
それには、大きく元々のアトピーの重度とステロイドに対する負の影響の感受性の2つを考えないといけないと思います。
例えば、ある人の感受性からすると一週間に一回ならステロイドを使い続けてもリバウンドしないとしても、毎日使わないと抑えられないのなら、ステロイド治療自体成り立たなくなります。
症状を抑えようとステロイドを過剰に使い続けるとリバウンドが起きるような状態に陥ると思います。
おそらく、標準治療の先生がステロイドに問題はないと言うのは、このアトピーの重度がステロイドの負の影響の感受性を超えていないケースに違いありません(問題が起こる前の状態ってことも考えられますが)。
これは人それぞれだと思います。
ただ、さつまいもさんが言われた「どの程度がわかりませんが」を解決する指標ができれば、より安全かつ効果的にステロイドを利用できるようになるのは間違いありません。
でも正直今の技術だと難しそうですね。
パッチテストや血液検査で分かるようならいいのですが、細胞を採取しての電子顕微鏡による確認とか遺伝子検査などなら、コスト的にもちょっと…といった感じでしょうか(そもそも技術自体、確立されてませんか…)。
私はステロイドの影響は皮膚そのものだけではないと思っているので(見た目だけではわからない)、この指標は今のところ現実的ではないような気がします。
そもそも、身体にどんな影響を与えているのか解明できている訳ではないでしょうから(部分部分でどんな働きをしているかはよく研究されていると思いますが…)、どこまで使って良いかを見分けるのは簡単ではありません。

またしても批判めいたことを言ってしまいましたが、少なくとも私が使っていた頃よりも今の方がステロイドは理性的に使われているケースが増えているような気がします。
だからといって、うまくいかない人がいなくなっている訳ではありません。
お偉いさん方は相変わらず「ステロイドは安全キャンペーン」ばかりしています。
もっと、科学的なアプローチをして欲しいものです。
あっ、また、批判してしまいました

難しい問題ですね。内服でステロイド皮膚症になったというのは聞いたことがないので、やっぱり外用特有のものなのでしょうね。

さつまいもさん

遅くなりすみません。

> 難しい問題ですね。内服でステロイド皮膚症になったというのは聞いたことがないので、やっぱり外用特有のものなのでしょうね。

だと思います。内服の場合、皮膚に行くまでにどこかの組織にお邪魔するのでしょうね。
私は外用でも体内にも影響すると思ってはいますが、率から言うとほとんどが皮膚に対する影響になるのでしょう。
そのあたりを含めて、「通りすがりのステ談義(その3)」で書くつもりです。

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